展示会か、ウェビナーか ─ DX顧客を生む「2段ロケット」の設計
展示会か、ウェビナーか
── DX顧客を生む「2段ロケット」の設計
「展示会に出ても、名刺は集まるが受注につながらない」─ 中小企業のDX相談で、いちばん多いぼやきの一つだ。前回(EP.36)は、テレセールスと対面を「分業」でつなぐ設計を見た。今回はその一歩手前、そもそも見込み客とどこで出会うか─ 集客チャネルの話だ。日本のBtoBでは展示会とウェビナーが二大チャネルだが、両者の役割は微妙に違う。結論から言えば、勝っている会社は「展示会か、ウェビナーか」で迷っていない。展示会で広く出会い、ウェビナーで深く育てる─ この「2段ロケット」を最初から設計している。データで読み解く。
施策実施1位
目的=リード獲得
ROIが合わない」
接触できる
📊 DATA VISUALIZATION ━ 展示会 vs ウェビナー(2026年)
01. 展示会とウェビナーは「競合」ではなく「役割分担」
まず現状を数字で押さえよう。IT CommunicationsがBtoBマーケ担当者237名に行った「イベント施策実態調査2025」(2025年10月調査)で、前年度に実施した施策の1位は展示会(52.3%)。2位のメール(37.1%)、3位のオンラインセミナー(36.7%)を大きく引き離した。展示会の出展目的は「リード獲得」(56.5%)と「認知度向上」(55.6%)が僅差の1・2位。一方、ウェビナーの目的は「リード獲得」(59.8%)がより強く、リードナーチャリング(育成)目的も展示会より約8ポイント高い。
つまり、展示会は「認知・接点づくり」、ウェビナーは「リードの育成」という役割分担が、データではっきり出ている。DXコンサルのように検討期間の長い商材ほど、この二つを組み合わせる設計が合理的だ。「どちらに出るか」で迷うのは、そもそも問いの立て方が間違っている。
| 指標 | 数値 | 出典・年 |
|---|---|---|
| BtoB施策の実施1位=展示会 | 52.3% | IT Communications 2025(n=237) |
| 展示会の出展目的1位=リード獲得 | 56.5% | IT Communications 2025 |
| ウェビナーの目的1位=リード獲得 | 59.8% | IT Communications 2025 |
| 「展示会のROIが合わない」 | 42.7% | ProFuture 103社 2026 |
| 決裁者に「十分接触できる」 | 9.7% | ProFuture 103社 2026 |
| 獲得リードのうち情報収集段階 | 約75% | サイル・サブリッジ 2025 |
02. 2026年の論点は「量」から「質」へ ─ コンサル視点の分析
2026年、潮目が変わった。ProFutureがBtoBマーケター103社に行った調査(2026年2月)では、8割以上が予算を維持・増額する「攻め」の姿勢を見せた。にもかかわらず、約9割が「決裁者に接近できていない」と答えている。とりわけ「ROIが合わない」と感じる施策の1位が展示会(42.7%)。決裁権を持つキーマンに「十分接触できる」と答えた企業はわずか9.7%だった。
ここで注目すべきは、媒体選定で重視する指標の変化だ。これまで王者だった「リード獲得単価(CPA)」(35.9%)を抜いて、「ターゲット層の濃さ」(43.7%)が初めて1位に立った。「安く大量に」から「高くても決裁者が確実に含まれる」へ─ 価値基準そのものが移り変わっている。展示会のROIへの不満は、展示会が悪いのではなく、名刺の枚数を成果とみなす旧来のKPI設計が時代に合わなくなったことの表れだ。DXコンサルがまず提案すべきは、出展する・しないの判断ではなく、「何を成果と数えるか」の再定義である。これは難しい話ではない。展示会で集めた名刺を母数とせず、そこから「決裁者・特定職種が何人含まれたか」「48時間以内に何件が次の接点に進んだか」を追う─ ただそれだけで、施策の見え方は一変する。
03. 中小企業の「2段ロケット」設計 ─ 3ステップ
展示会かウェビナーかで消耗せず、両者を一本につなぐ。勝っている中小企業が踏んでいる順序を、3つのステップに整理する。
展示会か、ウェビナーか─ この二択で消耗している間に、勝っている中小企業はとっくに両者を一本の線でつないでいる。展示会で広く出会い、ウェビナーで深く育て、48時間以内に動く。名刺の枚数ではなく、決裁者の濃さで測る。チャネルは奪い合うものではなく、つなぐものだ。次回は、その「続き」の核心─ 情報収集段階にとどまる75%のリードを、行事後48時間でどう動かすか、ナーチャリングの設計を掘り下げる。
■ IT Communications「BtoBマーケティング イベント施策実態調査2025」(n=237・2025年10月調査)
■ ProFuture/マクロミル「2026年BtoBマーケティング103社調査」(2026年2月調査)
■ EventHub「展示会のリード獲得最大化と商談転換の設計」(2025年)
■ StockSun「ウェビナーでリードは獲得できる(HubSpotデータ引用)」(2025年)
■ 展示会営業マーケティング「自前オンライン展示会起点のDX営業」(2025年)
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